林くんの話
この時期になると
免許取りたいとか取らなきゃとか
免許合宿とかのワードが耳に入ってくる
そのワードを聞くと
新潟に免許合宿に行ったのを思い出す
ちょい前に姉と
カップルプランで合宿に行った。
その方が安かったんだ
個人的にめっちゃ笑ったのは
カップルプランだと寮じゃなくてホテル泊まりなんだけど
教習所から寮は3分くらいのとこにあるのに
ホテルは教習所からバスで40分くらいかかるっていう鬼畜さだった
しかも寮だと三食バイキングなのにホテルだと朝、昼ご飯で夜はついてないのと
毎朝めちゃくちゃ早起きしてバスに乗らないといけないというなかなかの試練だった
寮がよかった
漫画も揃ってて楽しそうじゃねえか寮
寮で島耕作読んでいたかったわい
寮 寮
キンコンカンココン!
チャイムが鳴ったから授業へ行かなくては!
授業ではグループに分かれて
受けることが多く
グループに分けられだして3回目くらいから
あぁこのグループが同期的なポジなんだと
理解した
ナルトでいうサスケサクラ位置ね
その中に一人
本郷奏多似の男性がいて
本郷奏多好きな姉が注目しているのも察していた
午前はイニシャルDみたいなゲーム機で
高速を駆け巡るという授業だった
本郷奏多似の人が名前を呼ばれる
林さんどうぞ!
林っていうんだ
あ!次おれの番だ
その昼休み
林くんが係りの人と話しているのを
姉が聞いたみたいで
本当は寮で宿泊するはずだったのに
満員になってしまったから1日ホテルの部屋を用意したのでホテルで泊まってくださいと
言われていたらしい
なんだそりゃあああ
なかなかにきつい
寮で食べられない分の夕食代も支払われることはなかったらしい
部屋は手配したから泊まれと言われるなんて
なぁと思った
その話を聞いた姉が
一人で夜ご飯もどうしようか迷ってると思うから林くんを夜ご飯に誘おうって
そうしようと
大きく頷いた
ホテルのロビーで林くんに声をかけた
いいよって言ってくれて
林くんを誘って3人でご飯を食べにいった
話してみると年齢はおれと同じで
奈良出身で移動手段は鹿に乗るらしい
とにかく方言がモテそうで羨ましかった
東京人は怖いらしい
そんなにパリピじゃないよ♪と伝えた
林くんがamazarashiを好きなこととか
どうしてこの免許合宿を選んだとか
僕らは色んな話をして仲良くなっていった
鉄板ナポリタンも冷めきった頃
林くんが冷静な表情であと一回授業を休んだら退学になると言い出した
3回授業を休んだら退学になるのは
さすがに厳しいとは思っていたけど
林くんもうそんなに休んでるのかい!!
2回寝坊してしまったらしい
でも寮はスクールまで距離が物凄く近いので
授業の途中で起きても走れば間に合うので
遅刻という扱いにしてくれるそう
なるほどいいなあ、、
ホテルはスクールまでは40分かかるし
送迎バスもめちゃ少ないから
朝のバス逃したら授業には確実に間に合わないよ
まじか、、、
林くんがあだ名を付けるなら
絶望君みたいな顔をしていた
明日は絶対寝坊しちゃだめだよ
8:10にホテルの前だからね!
わかった
絶対起きる
と不安げにも決意した顔で言った
ルームカードのスペアは!
それを持っていれば林くんが寝坊しても起こせると思った
一枚しかなかったよ
なるほど一人だと一枚しか貰えないのか
帰りに受け付けで林くんが貰おうとしてみたけどそこはセキュリティ的にもちゃんとしていて貰えなかった
まあこれだけ言えば林くんも
明日起きれるだろうと
その日部屋に戻り
amazarashiのMVを何個か見て
思っていたバンドとは違った衝撃を受けた
明日早いからそのあとすぐ寝た
次の日の朝は早く起きれなくて
朝ご飯を食べれなくそのままバスに乗車する時間になった
8:05にバスが来た
運転手さんに挨拶をして
バスに乗った瞬間すぐ林くんがいないことが
わかった
まさかとは思ったけど
まさかかもしれない
8時7分8分と
バスの発車時間が迫って来る
おいおい早く来てくれ
林くんはやくっ!!
心の中で叫んだ
しかし林くんが来る様子は微塵も無い
バスのエンジンの小刻みな揺れが
不安な心情を煽っていく
運転手さんが点呼を取り出して
林くんがいないことを確認した
どうしますか?とスクールとトランシーバで
通信をしていた
LINEで何度通話しても出ない
昨日楽しく話した時間が走馬灯のように
思い出される
あんなに仲良くなれたのに
これで退学になったら林くんとはもう
会うことはないのかと思った
これが寮だったら間に合ったかもしれないのにとスクールを責めてみたり
昨日ご飯に誘ってなかったら起きれたのかな
とか自分を責めてみたりした
焦りが何倍にも膨れ上がっていく
エンジンの音だけが響くバス
トランシーバの会話で運転手さんの
どうしますか?の返事に
しばらくして
発車してくださいと声が聞こえた
汗がしたたる
とにかくもう会えないのは嫌だ
姉と目を合わせた
途端に姉がすみません忘れ物しました!と
立ち上がりホテルに戻っていった
さすがすぎる!!とエールを送り
LINEの通話を辞め
スタンプの高速連打をした
280個目くらいから既読がついた
!!!!
あの瞬間はアイシールド21で試合に勝った時くらいの歓喜だった
姉は林くんの部屋を外側からノックし続け
俺は高速スタンプで内側から振動で揺らしていく
この内部と外部の振動により生まれた
周波数が林くんを眠りから目覚めさせることができた
姉と一緒に乗って来た林くんの顔をみて
とてつもない安心と
また会えることの嬉しさを感じた
今年の夏 彼に会いに行く
電車の中で 免許どうしよー
免許取らなきゃなあと話している高校生を横に
そんなこともあったなと
ニヤニヤしてるおじさん一丁上がり
おあいそで!
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