バグモンの話
ゆうせいとは小学校が一緒だったんだけど
小学校の掟としては下校中に寄り道しては
いけまへんということだった。
それが例えコンビニであっても
メガネかけてるやつがメガネスーパーで
メガネを洗うことすらいけないこととして
僕らは認識していた。
しかし僕らがコンビニに行ったとして
それを誰も責めることはできない。
なぜならそこにコンビニがある方が悪だから
といった意味わからん思想を持っていた
僕達は
コンビニもマックも本屋も
全然寄りました。
下校途中のローソンに
ゆうせいとはよく行ってました。
そこのおじいちゃん店員がすごく愛想悪くて
お会計が290円だとしたら
290 と気の抜けた感じに斜め下に投げたような言い方で
500円のお釣りを渡す時に
はい500
とほらよ!みたいに掌に放り投げてくる
どうやらお金の数え方を
習ってきてこなかったらしい
しかし小学生の無邪気な僕らは
それに腹立つわけでもなく
アダ名を付けて面白がってました。
アダ名は
「バグモン」
理由は接客が悪すぎてバグが
起きたかと思ったからという説がある
ゆうと「今日もバグモンいた??」
ゆうせい「いたいた」
と学校でも話すようになり
バグモンの認知度は広がっていき
憎まれるどころかバグモンは
下校中のお楽しみとして
愛され始めた
しばらくして
何気なくテレビを見ていると
お笑い芸人が愛想の悪いコンビニ店員のマネ
をやっていて
あれ、バグモンだ
と思って
何ヶ月か経った後
そこのローソンの入り口のガラスに
冷やかしはやめてくださいと
シールが貼られていた。
バグモンがどうやら人気になってしまったのを見て、僕らはなぜかそれっきりローソンに行くのを辞めた。
応援していた人が
ビックになった途端
なぜか満足してしまったんだ。
僕らのバグモンは
みんなのバグモンになった。
嬉しいのやら
悲しいのやら
ぼくとゆうせいは
なぜかいつもより坂を踏みしめて
下校した
2コメント
2018.09.09 12:56
2018.09.09 11:30