ピアノの話
小学校一年生から六年生までピアノを
習っていた
六年間のピアノ生活で
音感が身に付き耳が養われたおかげで
歌のステータスもちょい良かった
小学一年の時母親に連れられて
ピアノ教室に足を運んだ
未知のレッスン教室に行くという
緊張感に耐えれるわけがない小1の僕は
工事のおじさんがコンクリートに
打ちつけてるやつみたいな
振動で震えていた
真っ白い扉をノックノックノックすると
奥から先生の声が はぁ〜い!!!
と聞こえる
想像通りの感じ!緊張感!
ドアを開けて
入ってみると想像通り上品な教室
想像通りのデカイグランドピアノ
先生が奥の部屋で
ちょっと待ってね〜と何かしてる
その間に見慣れない空間を見回す
楽譜がたくさん並べられてる
見てたら先生が戻ってきた
あらこんにちは!
と言う先生の方を見上げると
母性溢れる感じの想像通りすぎて
心の中でカノンを弾いた
そんなスタートから
毎週水曜日のピアノ教室に通い
最初は指で弾くのではなく
拳を倒すだけで弾ける方法を教えてくれて
ほんとに初心者でも演奏できるんだぞ
ということを教えてくれた
褒めて伸ばすタイプのやさしい教室だった
なんて素晴らしい教室なんだ
そう思ったり何も思わなかったりした
先生の機嫌がいい日は
先生が「プラムジュースのむ?」と
自信ありげに飲ませてくれるジュースがあり
それが美味しすぎて
真っ赤なプラムジュースの中に
果肉がたっぷり入ってて
ほのかな甘さと酸っぱさと
なんか初めての味で、健康的で上品な
あのジュースは
僕の中の1週間の
邪心を洗い流すような魔法のジュースだった
後半はもう
プラムジュースを飲みに行ってた
あの自家製プラムジュースを
簡単にのむことができなくなってしまった
6年生になってピアノ教室を辞めてから
高校生になってまた通いたくなった時
先生は事情により地方に行ってしまった
あのプラムジュースをまた飲みたい
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